上空では、ケインが一人奮闘していた。
次から次へ周りの戦闘機を破壊していくその姿は、正に一騎当千ならぬ一機当千といったところか。
しかし、彼にもまた、恐ろしい敵が迫っていた。





























                Symphony hatred 5






























空中の敵を一機残らず片づける作業は簡単ではなかった。
ちょっとでも隙を見せれば地上に爆弾落とそうとする奴はいるし、後ろからの攻撃は怖い。
一回で何十機もの敵機が来て360度全方位を塞ぐので、ウザイ事この上ない。
それでも、どうにか切り抜けてきたのがケインの凄いところだ。
周りを囲む戦闘機に一機だけ色形が違うものがあるのに気付いた。
それには見覚えがあった。かつての盟友だったアイツの愛用機―

「ヤッホー。ケイン、久しぶり」

通信でそんなことを話しかけてきたその盟友は、スタン・ラジアル。
奴とは一回だけチームを組んで出撃したことがある。
その後スタンは一気に昇進していったので今はケインとは全く別の部隊に配属されている。

「ちっ・・・。相変わらず馴れ馴れしい奴だ」

昔からコイツはこうだった。上官含む誰にでも親しげに話す。

「まあ、そう言わずに。折角また会えたんだから」

「黙れ! どうせ撃ち落としに来たんだろうが! こっちもこっちで忙しいんだ」

ふうん、と何か納得したような返答が来た。

「要するに、燃料が少なくなってきたから早く補給させろ、って言いたい訳ね」

図星だった。さっきから雑魚共の相手にてこずって随分と燃料を使ってしまったのだ。
このままこいつとおしゃべりしてたらそのまま燃料切れで墜落だ。
返事は舌打ちだけにして、ケインは照準をスタンの戦闘機に合わせた。
そして、手元のボタンを押す。弾がスタン機に向けて飛んでいく。
それを避けたスタンは、反撃に移った。ケインと全く同じ攻撃を返してくる。
それを紙一重で交わすと、今度は周りの雑魚から攻撃が来た。

「ほんっとにウザイ連中だな! すっこんでろカス共が!!」

雑魚に攻撃を当て、次々破壊していく。その間、スタンは攻撃せずに傍観していた。
その余裕っぷりがかえって腹立つ。
ふう、と息を吐くと、スタンの方に向き直った。

「これでようやく邪魔が消えた。とっとと終わらせて貰うぞ」

燃料の残量が20%を切った。焦りがケインの脳内を満たす。
リーサルウエポンの追尾ミサイルの準備に入った。
敵の攻撃をかわしながらだと照準も合わせづらく、失敗の確率が高い。
それでも、これは絶対に負けられない。
どうにか照準があったその一瞬、乱暴に、発射のスイッチを押した。
何発ものミサイルがスタン機に飛んでいく。逃げるスタン機に残りの弾全てを撃ち込む。
そして、ミサイルの一発が着弾するのが見えた。
爆発し、戦闘機の翼が折れ、煙を上げながら高度を下げていく。

「あーあ。墜ちちゃったか。んじゃ、ケイン。悪いけど、一緒に死んで」

スタンが最後に撃ったミサイルが、ケイン機に当たる。機体は炎を上げながら急激に高度を下げていく。

「しまった・・・油断した!」




























































ケインとスタンの機体の爆音は地上に聞こえることはなかった。


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